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あの子が衣装に着替えたら

ライブハウスとサッカースタジアムに溺れる人による、アイドルとその周辺の音楽のこと。

【お題参加記事】初めてアジカンのライブに行った日

お題「初めて○○のコンサートに行った日」


私はそこそこライブに行っている。夏フェスも含めると、だいたい1年に20本くらい。先日、フェスや対バンも含めたら今まで何組くらいのアーティストを観たのか?とふと思い数えたら105組だった。そして、行った時には全く気づかなかったけれど、なんと記念すべき100組目がNEWSだったのである。なので、ここは記念すべき100組目に観たNEWSのことを書こうと思ったけれど、既に書いてしまっていた。ちなみに50組目はONE OK ROCK

【ネタバレないよ】バンド沼住民、初めてNEWSのライブに行く - あの子が衣装に着替えたら

しかし、以前ツイッターで流れてきた「1年でコンサートに行く本数調査」によると、1年に20本もライブに行く人間はかなりのマイノリティー。というより頭がおかしいレベルのようだった。私はどうして、こんなにライブに通い詰める大人になってしまったんだろうか。考えると思い当たることが一つあった。2008年、初めて「ライブハウス」で観たライブで、音楽を聴くのではなく体感することの楽しさを知ってしまったこと。これが原因で間違いないと思う。


2004年、私は妹が「すごく良いバンドだから聴いてほしい」とゴリ押しで「君繋ファイブエム」のMDを押し付けてきたことをきっかけにASIAN KUNG-FU GENERATIONのファンになった。

それから4年後の2008年。妹から「アジカンが帯広に来るよ!メガストーンだよ!行こうよ!」と連絡があった。え?アジカンってこんな地方都市のライブハウスにも来るの?と驚いた。だって、前に妹が誘ってくれて行けなかったライブはきたえーる(アリーナ)だったから。ふたつ返事で行く!と言ったものの、懸念材料が2つあった。ひとつは「もう何年もライブに行っていない」こと、ちょうどアジカンを聴き始めた頃から、私は精神的な余裕がなくなっており「ライブに行こう」なんて発想が出来なくなっていた。4年ほどライブに行っていなかったのに、大丈夫なのか?と。

そしてもうひとつが「ライブハウスに行ったことがない」こと。私は過去にホールライブ等のパーソナルスペースが確保されたライブと、緩めのブロック指定のライブにしか行ったことがなかった。ライブハウスでのライブを体感しないまま大人になってしまっていたので、ライブハウスに対する恐怖があった。

でも見たい。自分の住む街に、歩いていける距離の場所に、毎日聴いて心の支えになってくれたアジカンがくる。私はライブ慣れをしている妹から、ライブハウスでのお作法(余計な荷物は持ってくるな等)を学び、会社でTシャツに着替え、仕事帰りに真っ直ぐライブハウスに向かった。

会場についたら、既に会場前には多くの人がいた。そして驚いた。ライブハウスの前にいるのは男子高校生ばかりだった。「アジカンって、こういう人がファンなんだ!」20代半ばの既婚社会人の目には眩しすぎる光景だった。こんな若い子に紛れて生きて帰れるのか…。その心配をうっかり口から出してしまったら、同行した妹から「死なないように水を買え、辛くなったら飲め」と指南され、隣のヴィレッジヴァンガードで水を買った。

チケットをもぎられ入場すると、真っ平らなフロアと低いステージがあった。地元にあるのに一度も来たことのなかったライブハウス。そして先に入場した人たちは、もう既に前の方を埋めていた。

「私、始まったら前に行くから。多分後ろの人たちに押されるから、無理だと思ったら後ろで大人しく見ても良いんだよ」

我が妹ながら何を言ってるんだ?と思ったが、すぐに全てを理解した。客電が落ちた瞬間、後ろの人たちが前方に押し寄せる。しかも凄い力で。

「うわ、ゴッチちっちゃ!」

普通のお兄さんたちが、普通の服で、フラッとステージに現れた。ステージは低く、周りを血気盛んな男子高校生に囲まれてしまった私の視界は今ひとつだった。けれどそこには、今までCDでしか聴いたことがなかった音がなっている。暑くて苦しい空間だけれども、そこに響くのは私がずっと、部屋で、車で、ウォークマンで聴き続けたあの曲たちが目の前で奏でられる音だった。

感動というよりも、ショックだった。今まで、音楽のこういう楽しみ方を知らなかったんだということに。

君繋ファイブエム」というファーストアルバムのタイトルは、直接人と繋がっていられる距離は半径5メートル以内というゴッチさんの持論からつけられている。だったら私だって、目の前のゴッチさんから5メートル以上離れたくない!結局、最後まで前の方で揉みくちゃになりながら見ていた。

終演後、ライブハウスの外で最高だった!という言葉を何度も口にした。好きな音楽を体感出来る喜びを取り戻したこと。それを感じさせてくれるバンドに出会えていたこと。自分の住む街に来てくれたこと。幸せだと思った。

その後、仕事の都合で長年憧れてはいたものの行くことが出来なかった夏フェスにも行けるようになり、色んなアーティストを観るようになった。冒頭でNEWSが100組目だったと書いたけれど、アジカンは10組目だったので、そこから8年で90組見たことになる。バカかよ。笑えよ。

今の私は「このアーティスト良いな!」と思ったら、次に考えることは「ライブに行きたいな」だ。それまでだって何度かライブに行ったことはあったけれど、アジカンは生で観れる喜びではなく、体感することの楽しさを教えてくれた。あの日、アジカンのライブに行っていなかったら、アジカンが地元のライブハウスに来てくれなかったら、私は他のライブにも行っていなかったんだろうなと思うので、やっぱりアジカンがちょっとだけ特別。


余談なんですが、大体このくらいの思い入れのあるバンドが今年、「ピンクとグレー」という映画の主題歌を手掛けたのですが、それがもうアルバム「Wonder Future」のモードの延長線上にありながらも、歌詞に映画を強く意識させる言葉をかなり織り交ぜていて、WFの次に出すシングルとしても、映画主題歌としても完璧という素晴らしさにアジカンファンとして凄いドヤ顔なんですよ。そして、この映画の原作者の方がラジオ番組持ってるんですよね。そこで「俺の書いた小説がアジカンの歌詞に影響を与えてる!」という、どちらかというとファンが思って議論するようなことを、原作者がイキイキと語るという展開があり、こんな妄想通りの未来がくるなんて…と思いました。シゲ、嬉しかったんですね。嬉しいです。