あの子が衣装に着替えたら

ライブハウスとサッカースタジアムに溺れる人による、アイドルとその周辺の音楽のこと。

深読みが止まらないアルバム、NEWS「NEVERLAND」

お題「NEWS「NEVERLAND」レビュー」

 2017年3月22日、NEWSの8枚目のアルバム「NEVERLAND」が発売されました。もうオリジナルアルバムは8枚目なんですね。

NEVERLAND(初回盤)

NEVERLAND(初回盤)

 

 

NEVERLAND(通常盤)

NEVERLAND(通常盤)

 

Amazonのリンク貼ってもジャケ写が表示されないの悲しいよね…

今回のアルバムは聴きどころ、語りどころ、妄想どころ、ヲタクの要らぬ深読みどころ等々…が多すぎてツイッターの140文字では書ききれないのでブログに書いてみようと思います。「この商品を含むブログを見る」見たさに通常盤のリンクも貼っておいてアレですが初回限定版しか買ってないので、ソロのレビューはないです。ごめん、アジカンがシングルとドキュメンタリーブック出して、トリビュート盤も出るからアルバム2枚買うお金ない…兼ヲタつらい…。

 

【ミスター・インポッシブルの重要性】

一番最初に再生した際、いきなりメンバーですらない男性「ミスター・インポッシブル」の語りで始まったので、これは必要なのか?とかなり疑問に思った。けれど、全編通して聴くと彼の登場のたびに楽曲の色合いが変わることがわかる。また、ミスター・インポッシブルの語りの後ろで流れている曲は、次のセクションの方向性を示すものになっており、彼の存在はまさにナビゲーターであることがわかる。更に、アルバムラストの語りは「ツアーに続く」のみでBGMがなく、アルバムのナビゲートはしてもツアーまでは明かさないという意図が隠されている気がした。

ちなみに、ミスター・インポッシブル抜きのプレイリストを作って再生してみたところ、「EMMA」→「Brightest」も「恋を知らない君へ」→「ミステリア」もあまり流れの良い配置ではなく、1枚のアルバムとして成立させるなら、仮に彼の語りを削るとしても曲間にはインタールードが欲しくなるし、それすら省くなら曲順、もしくは収録曲自体の再考が必要になると思われる。けれど、次に書くように曲順にはきちんとした意図があると思われるため、このコンセプトでアルバムを作った以上は語りを入れるという選択が正解なんだと思う。何より、アルバムの曲間にインタールードをいれるアーティストは多くても、語りを入れるのはどう考えても珍しい。この「物珍しさ」も、作品の世界観に一役買っている気がする。

 

【NEVERLANDから徐々に出口へ向かうアルバムなのでは?】

ミスター・インポッシブルの登場ごとに楽曲の色が変わり、テーマも変わるように作られている気がする。ざっくり分けると「NEVERLAND」〜「EMMA」は世界観が色濃くいかにも物語的な曲のセクション、「Brightest」〜「恋を知らない君へ」はラブソングのセクション、「ミステリア」〜「流れ星」は旅立ちを思わせる曲のセクション、そして最後の「U R not alone」は等身大のNEWSを歌う曲になっている。

また、ミスター・インポッシブル以外の歌モノの6曲目にあたる「ミステリア」には「5つの駅をやり過ごして」というここまでの5曲のことを指しているであろうフレーズがあり、曲順はかなり重要な要素になっていると思われる。この曲順とミスター・インポッシブルによる楽曲のセクション分けが、NEVERLANDから徐々に生身のNEWSに近づいて行き、最終的にはNEVERLANDへの旅を終えて現実世界に帰るような流れに感じられる。

 

【7つのエレメント】

ミスター・インポッシブルのいう「7つのエレメント」。表題曲の「NEVERLAND」、最後の「U R not alone」、そしてシングル曲の「EMMA」と「恋を知らない君へ」の4曲を除いた曲数がちょうど7曲なので、この7曲に「7つのエレメント」がそれぞれ当てはまるように出来ているのでは?と推測する。

曲名から当てはめると「炎」は「BLACK FIRE」、「光」は「Brightest」、「踊」は「アン・ドゥ・トロワ」、「魔」は「ミステリア」、「愛」 は「Silent Love」。残る2つは「水」は涙の出てくる「流れ星」で「音」は声がキーワードになっている「ORIHIME」だろうか。この2曲は自信がない。

 

【シングル曲は表裏一体?】

深読みのし過ぎかもしれないが、「EMMA」「恋を知らない君へ」のシングル2曲は、それぞれ1曲前に収録されている曲と表裏一体になっているように思えた。

「アン・ドゥ・トロワ」と「EMMA」はどちらも濃密な恋の物語で、尚且つ歌い出しが「24時のベル」「AM0:00」と同じ時刻から始まる物語になっている。歌詞や楽曲のもつ雰囲気は大きく異なるものの、この2曲の描くストーリーの主軸は「女性と一夜の恋を経験する」というほぼ同じもの。振付を含めかなり直接的に女性との一夜を歌ったシングル曲の「EMMA」に対し、耳だけで一聴すると煌びやかで舞踏会を思わせるような「アン・ドゥ・トロワ」は、「心体」と書いて「しょうたい」と読ませている部分があったり「行きたい」ではなく「イきたい」になっていたりと、歌詞を文字で読むことで初めて隠された情景がわかるものになっている。

また「Silent Love」と「恋を知らない君へ」もどちらも「成就することのなかった戻れない恋」を歌っており、「首筋の跡が消えても」「あなただけは消えないで」とこちらも対になっているような歌い出しになっている。

それぞれシングル曲をあえて後ろにすることで、情景の同じ2曲が表裏一体になっていることに後で気づかせる仕掛けに思えた。

 

【「U R not alone」はNEVERLANDの外?】

この曲は表題曲とシングル曲以外のアルバム収録曲で唯一、ミスター・インポッシブルが「このアルバムは、とりあえずここまで」と語った後に収録されている1曲。これまでの収録曲が、アルバムの世界観を作り込むためのピースになっていたのと異なり、この曲だけはアルバム収録曲の中で唯一、NEWS自身とこの曲を受け取るリスナーが自分自身の歌として感情移入できるように作られた曲になっているような気がする。

そして、ここまでのアルバム曲にはコールアンドレスポンス等の観客が参加して完成するような作りの曲がほぼなかった*1中で、この曲はハッキリと「NEWSと観客が一緒に歌うこと」を前提に作られて、音源にもしっかりと合唱を思い起こさせるようなコーラスが入っている。楽曲のキーは男性が歌うにはかなり高く、むしろ女性が歌いやすいくらいのキーになっていて、「力を貸してくれないか」と言うフレーズからも「歌ってください」と言うメッセージが感じられる。この曲はネバーランドではなく現実世界のNEWSと聴き手のための曲だと思う。


【シゲに重要なパートが回ることが明らかに増えている】

NEWSはメンバー4人に比較的平等にパートが割り振られている。それでも、歌い出しや大サビ等の楽曲のキーになるようなパートは歌唱力の高いテゴマスが担うことが多かった中、今回のアルバム曲ではそういうパートがシゲに多く回っている。特に「BLACK FIRE」の歌い出しのテゴ→シゲでのシゲの声は(若干の音程のブレから出るエモさまで含めて)最高にハマっている。

NEWSは元々4人の声が持つ色味がバラバラではあるけれど、シゲの声質は他の3人に比べて特に強さやエモさがハッキリと出る声だと思うので、こうして要所要所をシゲが歌うようになるのはNEWSにとって大きなことだと思うし、そうなっている要因には「シゲが明らかに歌が上手くなった」というのがあると思う。シゲの歌は確実にレベルアップしている。

 

【NEVERLANDへの鍵】

初回限定版の特典DVDに収録されている「NEVERLAND EPISODE.0」は鍵工場で働くNEWSが「NEVERLANDへの鍵」を工場で製造している映像が入っているけれど、工場勤務の割には制服も立派だし全然汚れてないので、鍵工場が超ホワイト企業なのか、アイドルは工場勤務でも汚れないのか、NEVERLANDだからなのか…(てごちゃんだけ超体力仕事で笑った)。その上、初回限定版には映像で製造している(設定の)「鍵」が封入されている。これがおまけレベルの出来ではなく、むしろツアーグッズにして物販で売ってもいいくらいの出来。それなのにこれをあえて「封入特典」に決めた打ち合わせの過程を知りたい。女子アイドルなら鍵に生写真つけて2,800円とかで物販で売ってる。

 

【おわりに】

長々と書き綴っておいてアレだけど、ここまで書いてもまだ何かあるような気がするし(歌割も何かありそうな気がしてる)、ここまで書いたことが深読みのしすぎのような気もしている。

ツアーはエピソード1なのか、私は「Silent Love」のラップを現場で聴いても生きていけるのか、ペンライトは白なのか、それとも最近のジャニーズトレンドに乗ってメンバーカラーに光る仕様なのか(黄色は電池の減りが早い)、噂の手越祐也ソロ曲の歌詞にレーベルと事務所がゴーサインを出した理由(通常盤まだ買ってないので聴いてないけど噂はツイッターで目にしております)等々…まだまだ気になることはあるけれど、この辺でやめておかないと深読みのしすぎで夜も眠れなくなりそうなので、ツアーを楽しみによく眠り健康維持に努めたいと思います。

 

【最後に一つ確認なんですけど】

「BLACK FIRE」はNEWS史上初のヘドバン曲だと思うんですけど、ペンラじゃなくて頭振っても大丈夫ですか?(90年代ヴィジュアル系リアルタイム世代)

*1:敢えて言うなら「ORIHIME」でPPPHが打てるけど、あまりそういったことをする感じの曲には思えない