あの子が衣装に着替えたら

ライブハウスとサッカースタジアムに溺れる人による、アイドルとその周辺の音楽のこと。

【 #おたく楽しい & #にわか楽しい 】おいでよ北海道の夏フェス!ライジングサンロックフェスティバル楽しい。

【#おたく楽しい & #にわか楽しい Advent Calendar 2017 参加記事】

adventar.org

「あけましておめでとうございまーす!」

 

午前5時。夜明けの空は白く、海が近いためか空気は冷たい。美しい朝日が見れる年もあれば、そうではない年もあるけれど、この場所で一緒に朝を迎えた仲間と、新しい年を祝う挨拶をするのが、ここ数年の私にとって定番の夏の過ごし方になった。

私たちは「新年」を8月に迎える。おそらく、私たちだけが特殊なカレンダーの世界で生きているわけではない。8月のあの日、あの場所で、同じように朝を迎える何万人もの人々から、ちらほらと同じ挨拶が聞こえてくる。1年に一度だけ迎える朝、太陽が昇ってしまえば音楽は止み、人々は日常に戻り、その場所も倉庫や工場に囲まれた工業用地に戻っていく。

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それが、私が愛してやまない「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」だ。

 

RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZOとは?】

いきなり8月に新年のご挨拶をする異様な様子からこの記事を書き始めてしまい、そもそも何が楽しいことを主張する記事なのか?が迷子になってしまったが、「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」とは要は夏フェスである。「夏フェス」とは「夏に開催される音楽フェスティバル」のこと。「音楽フェスティバル」とは、複数のアーティストが同じ会場に集まり、同時多発的にライブを行うイベントのこと。なのでこの記事は、私が愛するRISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO(長いので以下、ライジングサンと表記)がいかに楽しいか、楽しいのであわよくばみんな来て欲しいということを紹介したいと思う。 

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※ワクワクが止まらない入場ゲートの様子。行きたくなったでしょ。

日本におけるフェス文化は1995年に開催された第1回フジロックフェスティバルが始まりと言われている。そのフジロックに遅れること4年。1999年に北海道の老舗コンサートプロモーター・WESSの主催で、ライジングサンの歴史は幕を開けた。翌2000年にはROCK IN JAPAN(ロッキン)、SUMMER SONIC(サマソニ)もその歴史をスタートさせている。現在、日本で「4大フェス」と呼ばれているのはこの4つのそれぞれに特色ある大型フェスであり、その全てが夏に開催される「夏フェス」である。

現在、日本はフェス乱立状態であり、夏どころか春も秋も冬も一年中フェスが開催されており、また毎年各地に新しいフェスが誕生している。その中において、ライジングサンは歴史も規模も日本国内屈指と言える音楽フェスになっている。が、そもそもそんな歴史やフェスのなんたるかを知らなくても、ライジングサンは楽しい!おいでよ!

 

【ライジングサンの特色とは】

ライジングサンの最大の特色は「開催地が北海道であること」だと思っている。私自身が北海道生まれ北海道育ち北海道在住の筋金入りの道民であるというひいき目を抜きにしても、「開催地が北海道であること」以上に心を惹きつける要素はないと思っている。日本で一番北に位置し、酷暑や熱帯夜とは無縁の大地・北海道。その北海道の短い夏に、たった2日間だけ開催されるフェスティバル−その情景だけでどこかロマンがある。

ライジングサンは札幌市の隣に位置する石狩市小樽市のちょうど境目、市街地や住宅地から遠く離れた広大な工業用地を会場として利用することで「近隣への騒音を気にせずにオールナイトで音楽が楽しめる」環境を作り上げ、また会場内にテントサイト(来場者が寝泊まり用のテントを設営する専用エリア)や飲食ブースを完備することで、2日間の開催期間中はずっと会場で過ごすことが出来るようになっているのも特色の一つ。ずっと会場にいられて、深夜まで音楽を楽しめる環境がフェスへの没入感を高め、非日常感を強めてくれる。深夜に野外でデカい音で音を鳴らしても誰も怒らない環境!楽しい!

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※会場内テントサイトの様子。石狩湾新港の工業用地を利用しているため、テントの向こうには倉庫や工場が見える。場所は静かな場所から、メインステージが見える場所まで様々。

 

【2日間だけ出現する「音楽の街」】

「野外でオールナイトでライブが出来る」ということはつまりは人里離れた場所であり、もちろん会場のアクセスは良くない。しかし、その分、ありとあらゆることが会場内やオプションサービスで解決出来るようになっている。

・出店飲食店数2017年実績58店舗!豊富で美味しい飲食ブース。

・汗をかいても大丈夫!有料シャワーブースあり!

・シャワーじゃなく風呂に入りたい!そんな時には近隣温泉施設への往復バスがあるぞ!(チケット完全前売り制)

・服が汚れた!大丈夫!衣料品店も出店しているので全身買い替え可能です!

・急に具合が…もちろん救護テントあります!

・突然ビールが飲みたくなった!もちろんあります!

・携帯の電池がない!大丈夫!充電できるブースあるよ!

・いま見たアーティストのCDがすぐ買える!タワレコあり!

・困ったときには!ローソンあり!

・荷物持ってくるの面倒!大丈夫!会場まで郵便局さんが届けてくれます!持ち帰るの面倒?大丈夫!帰りも郵便局さんが送ってくれます!

ザッと思いつく限りでは、これくらいのことは会場内で解決出来る。2日間「生活」するために必要なものやことはほぼ会場内で完結可能なので、会場外のことを思い出す必要すらなくなる。その様はほぼ一つの音楽の街。もう住める。なんなら住みたい。住民票ライジングサンに移したい。

と言っても、テント泊するほどでもないしな〜とか、テントでは寝れないという人のために、札幌市内行きのシャトルバスもガンガン走っています。初日のアクト終了後、真夜中に札幌まで戻れるので、市内にホテルをとって翌朝にまたシャトルバスで会場に向かうのも気楽です。

ちなみに今年のライジングサンは2日目が豪雨で会場内の足下が田んぼのようになってしまったため、私はボトムを泥まみれにしてダメにしてしまい、会場内の衣料品店で新しいの買いました。なんとクレジットカードも使える充実ぶりで、緊急時も安心(カードが使えるか?は店舗による)。

 

【そうだ!メインはライブだった!】

ここまで会場の環境のことしか書いていなかったけれど、あくまでもライジングサンは音楽フェスなので、メインはライブ。

ライジングサンは邦楽アーティストのみが出演するフェスで、例年2日間で約120組のアーティストが出演。ステージは6つ+アコースティックライブが出来るカフェステージがひとつの計7つ。メインステージであるSUN STAGEのエリアには3万人ほどが収容できるので、アリーナクラス以上の会場でツアーをやっているようなバンドが出演することも多数ある反面、2014年には北海道出身のバンド・爆弾ジョニーがSUN STAGEのオープニングアクトを務めたケースなどもありました。また、「ロックフェス」と言っているだけに出演者はロックバンドが多いのですが、Perfumeが常連の出演者だったり、2016年には松山千春さん、2017年には清水ミチコさんが出演するなど、出演者の幅は広がってきています。オールナイト開催であることを生かして、深夜に稲川淳二さんの怪談があったりもするよ!

全てのステージでほぼ同時進行でライブが行われており、全出演者を見ることは絶対に不可能ですが、タイムテーブル(出演順)とにらめっこしながら「この時間はこのアーティストを見よう」などと考えるのも楽しい時間。むしろ、発表されたタイムテーブルを見ながら行動予定を立ててる時が、一番楽しいかもしれません。当日は「疲れた」「目の前の飯の方が魅力的に見えた」「思いつきで違うアーティストを見に行った」「寝てた」などの理由で、予定通りにはいかない…。

そして、どんなに気の合う仲間と一緒に行っても、見たいアーティストが全て被ることはあり得ません。私とライジングサン仲間はライブを見る時間帯は各自単独行動をしつつ、「ライブを見ない時間」で一緒にご飯を食べたり、それぞれが見てきたアーティストでこんなことあったよーこんな曲やったよーと報告しあったり、全然関係ない話をしたりしています。同じものを見ていなくても、感想戦が楽しいのはヲタクの特権!

1アーティストにつき持ち時間は30分〜1時間(大きなステージに出演するアーティストほど持ち時間が長くなる)なので、ワンマンライブよりは時間は短いですが、そのぶんセットリストは濃密だったりします。

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※2017年、レッドスターフィールド出演のチャラン・ポ・ランタン。私はこのステージがライジングサンらしくてお気に入り。写真は撮影許可が出た時のものです。

また、滅多に見る機会のないアーティストやチケットの取りにくいアーティストを、ふらっと見れてしまうのもフェスならでは。「ワンマンライブのチケット取るほどじゃないんだけど、見てみたい」という程度の認識のアーティストをフェスで見て、そのまま沼に転落するのはあるある。また、会場内で次のライブのチケットが売られていたりする…アーティスト、音楽ヲタクに容赦ない…。

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※2015年、数ヶ月後に活動休止を控えていたthe telephonesの出演時。右手に見えるレインボーシャングリラのテントには観客が全く入り切らず入場規制になるも、多くの観客がその場を離れることなくエリア外から見守ることに。 

ライジングサンらしい試みとしては、2013年から1日目の深夜に「FRIDAY NIGHT SESSION」という、1組のアーティストがステージを取り仕切り、様々なアーティストをかわるがわるステージに呼び込む形で行うセッションライブが行われています。これがまた、音楽ヲタクの心をくすぐるセッションですこぶる楽しい!

 

【「見たいアーティストがいる」から「ライジングサンに行きたい」に変わる】

私はここ数年毎年ライジングサンに行っていますが、チケットは出演者発表の前に購入しています。出演者が発表される前に買うと安いということもありますが、私の中ではライジングサンは「あのアーティストが出るから行きたい」というフェスではなく、「ライジングサンに行きたい」というフェスに変化しました。

北海道の短い夏に、夢のような場所で、ライブを見て非日常を味わう2日間。フェスの名称「ライジングサン」は、2日目のメインステージでの大トリのアーティストのライブ中に朝日が昇り、終演時には朝を迎えているから。その朝日を見ることで次のライジングサンへ向けて「来年もこの朝日を見れたら」と生きていく一年が始まるので、「あけましておめでとうございます」という挨拶を交わす。

極端な話、もう私にとってライジングサンは、自分が好きなアーティストなんて出てなくても全く問題ないフェスなんです。ライジングサンのファンなんです。いや、もちろん出てくれたら嬉しいけど。出てくださいお願いします。

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2017年。大トリを飾ったくるりのライブ後、2018年の開催日が発表されました。今は、あの朝日に出会うための1年を生きている最中です。

 

ライジングサンロックフェスティバルは楽しいよ!